妊娠中も安心!マタニティピラティスで身体づくり

新しい命がお腹に宿ると嬉しい反面、心と身体の変化が激しくなりバランスを崩して体調が不安定になりがちです。多くの方がつわりや腰痛、体重増加に伴う姿勢の崩れなど、さまざまな不調に悩まされます。そこで「できるだけ安全に運動したい」「出産に向けて体力を付けたい」と考える妊婦さんに注目されているのが「マタニティピラティス」です。呼吸とゆるやかな動きを組み合わせ、体幹を中心としたコアマッスルをバランスよく刺激するこのエクササイズは、妊娠中の不調軽減や出産準備に役立つとされています。またレパートリーが豊富で、妊娠中のあらゆる段階に対応することができます。もちろんピラティスの経験者だけでなく初心者の方でも取り組むことができます。今回はそんなマタニティピラティスの概要から具体的な効果、実践時のポイントまでを網羅し、初めての方でも安心して取り入れられる情報をお届けします。
マタニティピラティスとは

ピラティスは呼吸や姿勢に重点を置き、筋力・身体の可動域・柔軟性のバランスを取るエクササイズです。その中でも妊娠中・出産・産後に役立つように妊婦さんの心と身体のケア・強化・調整に特化して設計されたのがマタニティピラティスです。
医師の許可が必要・リスクを理解する

そもそも妊娠中にエクササイズをすること自体に不安を持たれるかもしれません。ですが十分な安全管理基準を満たしたエクササイズ、特にマタニティピラティスは赤ちゃんと妊婦さん自身の健康の維持・促進にむしろ有益とされています。ただし、妊娠期の運動は必ず主治医や助産師の許可を得ることが大前提です。妊娠経過や体調に個人差があり、切迫早産や妊娠高血圧症候群などのリスクがある場合は運動制限が必要となります。また、安定期と呼ばれる妊娠中期以降であっても、腹圧が急激に高まる動作や仰向け時間が長い姿勢は避けるのが基本です。マタニティピラティスではストレッチや呼吸を中心に構成されているとはいえ、リスクを理解した上で取り組む姿勢が不可欠です。
エクササイズ中も体調が最優先

医師の許可を取って始めた場合でも、エクササイズ中に膣出血、めまい、頭痛、異常な息切れ、腹痛、胸痛、羊水漏れ、ふくらはぎの痛み・腫れ、その他少しでもおかしいな、と感じたらすぐに中断し医師に相談しましょう。尚、レッスン時は母子手帳や診察券も持参しましょう。
☆英語圏ではマタニティピラティス(Maternity Pilates)とは言わない?
「マタニティ」(maternity) とは「母であること、母らしさ、母性、産科、マタニティドレス、妊婦服」といった意味ですが、実は英語圏でマタニティピラティスは「Prenatal (出産前の)Pilates」と表現するのが一般的です。
妊娠期特有の身体変化を踏まえたプログラム

妊娠するとリラキシンというホルモンの影響で靭帯が柔らかくなり、関節が不安定になりやすくなります。そのため体幹を支える多裂筋や腹横筋、骨盤底筋群が上手く働かないと、腰痛や股関節痛の原因になりがちです。マタニティピラティスは、関節に負担をかけない範囲でインナーマッスルを活性化し、骨盤と背骨の安定を図るプログラム設計になっています。
いつから始められる?適切なタイミング

一般的には妊娠初期を過ぎ、体調が落ち着く妊娠中期(おおむね妊娠16週以降)から始めるケースが多いですが、あくまで個人差があります。また特定の疾患をお持ちの場合や身体の状態によってはエクササイズ自体がリスクとなることもあります。かかりつけ医の判断を仰ぎ、少しでも不快感があれば即座に中止することが重要です。
<参考文献>
産婦人科診療ガイドライン-産科編2020(公益社団法人日本産科婦人科学会、公益社団法人日本産婦人科医会)
妊婦スポーツの安全管理基準(日本臨床スポーツ医学会)
マタニティピラティスの効果
ここからはマタニティピラティスを行うことで実際に期待できる身体的・精神的メリットをご紹介します。
呼吸の改善

赤ちゃんはお腹の中で成長するにつれて、子宮の拡大で横隔膜が押し上げられて徐々に胸腔内(胸周り)を圧迫していくため息苦しさを感じることがあります。マタニティピラティスでは肋骨全体を広げる胸式呼吸を繰り返し、横隔膜と腹横筋を協調させて動かします。これは妊娠中の息苦しさを軽減するだけでなく、分娩時の呼吸にも役立つと言われています。
姿勢の改善
妊娠してお腹が大きくなると体重が増えるため、猫背や反り腰など姿勢が崩れやすくなります。姿勢の崩れは痛みや不快感を起こす場合があります。ピラティスでは姿勢の改善に効果的な背骨を支える筋肉を強化することができます。特に腰、腹部の筋肉を強化することで、姿勢の変化に伴う痛みを大幅に軽減できます。また、これは出産準備エクササイズとして出産後の姿勢の崩れを防ぐのにも役立ちます。
骨盤底筋群が強化され出産の準備が整う

骨盤底筋群は子宮をはじめとする下腹部の臓器を下から支えるハンモックのような筋肉群です。妊娠中は胎児や羊水の重みで伸ばされ、この筋力低下が起こりやすくなります。マタニティピラティスでは呼吸に合わせた骨盤底筋の収縮・弛緩を繰り返し、分娩時に必要な弾力性を養います。またこの産前エクササイズでは産後の尿もれ予防や骨盤の回復促進にもつながる点が大きなメリットです。
運動不足を解消し安全に体力作り

初産では陣痛発来から出産まで平均10〜12時間(個人差が大きく20〜40時間以上という方も!)、経産婦の方でも平均約4〜6時間と言われており、出産にはかなりの体力を消耗します。お腹が大きいとどうしても運動不足になりがちで、体重増加の上、体力が落ちてしまいます。体重増加を抑えつつ筋持久力を高めることは、分娩時の体力消耗を最小限に抑えるうえで不可欠です。マタニティピラティスは低衝撃かつゆるやかな負荷設定のため、関節を痛めるリスクが少なく、心拍数を適度に上げながら全身を動かせます。この妊婦エクササイズは継続することで血流が促され、むくみや冷えの対策にも効果的です。
ストレスを軽減し精神的安定をサポート

妊娠すると身体が赤ちゃんを発育しやすい環境にするように女性ホルモンが活発化します。この急激なホルモンの増加は睡眠障害や精神的な不安定をもたらします。また家族、職場、社会のサポートの有無など自身を取り巻く環境によってもストレスが増加する場合があります。そうしたストレスの増強は自分だけでなくお腹の赤ちゃんにも悪影響を及ぼしかねません。マタニティピラティスの深い呼吸とゆったりした動作に集中する時間は、マインドフルネス効果を生み、副交感神経を優位に導きます。これにより睡眠の質向上やストレス緩和につながり、心身ともにリラックスした状態で妊娠期を過ごせるでしょう。
マタニティピラティスを行う上でのポイント
安全かつ効果的に続けるために、実践前に知っておきたい3つのポイントを紹介します。
有資格インストラクターの指導を受ける

マタニティピラティスと一口に言っても妊娠段階によってエクササイズ内容は異なります。また妊娠中は禁忌動作があったり、安全のためにマシンの調整や高さに気を配るなど、妊婦さんに合わせた内容のエクササイズが必要です。そのためマタニティピラティスには姿勢変化や禁忌姿勢への深い理解が求められます。そのため、そうした点を熟知した有資格インストラクターが在籍しているスタジオで、身体を常にチェックできるようにできる限り対面のプライベートレッスンを受講することが理想的です。
軽い服装とこまめな水分補給で快適に

締め付けが強いウェアは血流を妨げ、むくみや動きづらさの原因となります。マタニティピラティスのレッスンではお腹への締め付けのない伸縮性があるマタニティパンツ、お腹周りをしっかりカバーしてくれるマタニティ用のチュニックやタンクトップを選び、温度・湿度なども快適な環境で行うのが理想です。また妊娠期は発汗量が増えるため、レッスン中はもちろん前後にも十分な水分とミネラル補給を心がけてください。
ホットピラティスはNG!時間的な余裕も持とう

ピラティスは妊娠中でも行えるエクササイズですがホットピラティスはNGです。ホットピラティスのような高温多湿環境では、脱水症状・熱中症へのリスク、また汗で滑って転倒する可能性などがあります。また、レッスン前後には移動や着替えで心拍数が上がりすぎないよう、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。レッスン後はしっかりとクールダウンを行い、身体を徐々に日常モードへ戻すことで疲労を残さずに済みます。
まとめ
マタニティピラティスは、妊娠期特有の身体変化を安全にサポートしながら呼吸・姿勢・骨盤底筋群をバランスよく鍛え、出産に必要な体力と精神的安定を同時に育む「産前エクササイズ」の最適解です。医師の許可を得たうえで有資格インストラクターの指導を受け、快適な服装や十分な水分補給を心がければ、むくみや腰痛の軽減からストレス緩和まで多角的なメリットが期待できます。妊娠期の不安を抱えた方こそ、体幹を中心にインナーマッスルを目覚めさせるマタニティピラティスで、安心できる出産準備と産後のスムーズな回復を目指しましょう。
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