マシンピラティス購入ガイド:後悔しない選び方

ピラティスの効果を実感し、その魅力に深く触れると、「自宅でもマシンを購入して毎日エクササイズしたい」と考える方は少なくありません。また、インストラクターの方やこれからインストラクターを目指す方にとっても、ご自身の練習や指導のためにマシンの購入は大きな関心事でしょう。しかし、マシンは高額かつサイズも大きいため、購入後に「こんなはずではなかった」と後悔するケースも耳にします。今回はそんなマシンピラティス購入に関する疑問や不安を解消できるよう、メーカー比較、予算設計、そして購入の際のチェックポイントなどをご紹介します。
ピラティスマシンの種類や、マシンを自宅に置くメリット・デメリットも併せてチェック!
主要マシンメーカー比較
同じリフォーマーでも設計思想などはメーカーによってそれぞれで、乗り心地や機能性も異なります。ここでは、世界的にシェアの高いブランドや国内で注目されているブランドをピックアップし、それぞれの特徴を比較します。
*メーカーの情報は変動する可能性があります。実際に購入を検討される際には、必ず各メーカーの公式サイトや正規代理店にて最新の情報をご確認ください。
Balanced Body(バランスドボディ)

・本拠地/実績: アメリカ・カリフォルニア州サクラメント。世界的にリフォーマーの出荷台数がトップクラスで、多くのスタジオや指導者に支持されています。
・特徴: 高剛性のアルミフレームと非常にスムーズな滑りを実現するレール構造が特徴です。スプリングのテンション(張力)を細かく調整できるため、深層筋から大きな筋肉まで、目的やレベルに応じて段階的に刺激を高めることが可能です。豊富なアクセサリーやカスタマイズオプションも魅力です。
・購入方法: 米国公式サイトからの直接購入は不可、国内代理店やサポート会社を通じて購入可能。
Merrithew™/STOTT PILATES®(メリシュー)

・本拠地/実績: カナダ・トロント。理学療法やリハビリテーションの分野でも高い評価を得ており、医療関連施設への導入実績も豊富です。
・特徴: 医科学的および生体力学的研究に基づいて設計されており、安定性の高い低重心なマシン構造が特徴です。エクササイズの精度や安全性にこだわる理論派のインストラクターからの信頼が厚いブランドです。STOTT PILATES®の認定インストラクターは特別価格で購入できる制度がある場合もあります。
・購入方法: 国内の正規代理店を通じてショールームで試乗後、見積もり、受注生産となるのが一般的ですが、本社から直接購入も可能。
Gratz Pilates(グラッツ)

・本拠地/実績: アメリカ・フィラデルフィア。創始者J. H. ピラティス氏が使用していたオリジナルの設計図を忠実に継承しているとされる、クラシカルピラティスの代表的なブランドです。
・特徴: 重厚なスチールフレームと、特定の本数(例:全て同じ張力のスプリング4本など)で構成されるスプリングシステムが、独特な“クラシカル”な乗り味を生み出します。非常に頑丈な作りで、リセールバリューが高いことでも知られ、中古市場でも価格が安定している傾向があります。
・購入方法: 公式サイト(英語)から直接オーダーするか、輸入代行業者を利用する必要があります。
BASI Systems(バシシステムズ)

・本拠地/実績: アメリカ・カリフォルニアに本部を置く国際的なピラティス教育機関であるBASI Pilatesが、その教授法とエクササイズシステムを実現するために開発に関与したマシンブランドです。
・特徴: 革新的な「F2 System」というモジュール式アタッチメントを採用しており、リフォーマーに後からタワーやキャデラックの機能を追加・拡張できる点が魅力です。キャリッジが比較的長めに設計されており、体格の大きな利用者でも肩甲帯などを安定させやすいとされています。
・購入方法: 国内の正規代理店(商社など)を通じて見積もりを取得し購入するのが一般的です。
ZAOBA(ザオバ)〔国内〕

・本拠地/実績: 千葉県に拠点を置く日本のフィットネスマシンメーカー。国産のウッドフレームを用いたピラティスマシンに特化し、国内で組立・出荷を行っています。
・特徴: 代表的な「LIMシリーズ」は、無垢材の持つ温かみのあるデザインと、静音性に優れたレールシステムを両立させています。摺動部には日本製の高品質なベアリングを使用するなど、長期使用でもきしみ音などが出にくいよう配慮されています。標準モデルでも多くのパーツに抗菌塗装を施すなど、衛生面への配慮も特徴です。
・購入方法: 公式オンラインストアや正規取扱店を通じて見積もり依頼、決済後、国内倉庫から発送されます。国内生産・在庫のため、海外ブランドに比べて納期が比較的短めです。
予算設計と費用管理:賢い投資のために
マシンを購入する際には、本体価格だけでなく、輸送費・設置費・為替変動リスク・メンテナンス費用といった“見えないコスト”まで含めて資金計画を立てる視点が重要です。特に、ご自身のスタジオ運営やインストラクターとしての活動初期の投資として考える場合は、投資回収の計画まで見据えたキャッシュフロー管理が不可欠になります。
新品と中古、どちらを選ぶか

新品リフォーマーの相場は、一般的に60万円〜110万円程度です。一方で中古品は、状態にもよりますが半額以下で見つかることもあり、初期導入コストを大幅に抑えることができます。 ただし、注意すべきはスプリングなどの消耗部品の寿命です。スプリングの使用目安はおおよそ2年〜3年(使用頻度により変動)とされ、劣化したまま使用を続けると、適切な張力が得られずエクササイズの効果が減少したり、最悪の場合、破損による安全リスクが高まったりする可能性があります。中古品を選ぶ際は、製造番号やおおよその使用年数、メンテナンス履歴などを確認し、必要な部品交換費用を含めた総額で新品と比較検討することが大切です。
分割払いとリースの活用

一括での支払いが難しい場合でも、月額固定のリース契約やショッピングクレジットを利用することで、早期にマシンを導入できる可能性があります。
・リース契約: スタジオ運営の場合、経費として処理できるメリットがあります。リフォーマーであれば月額3万円〜4万円程度が目安で、定期点検が含まれるプランを選べることも魅力です。 契約終了後に最新機種へ乗り換えるといったサイクルを組めば、常に新しいマシンで指導できるというメリットも享受できます。
・ショッピングクレジット: 金利はかかりますが、マシンの所有権はご自身に移ります。例えば、60回払い・金利3.9%の場合、総支払額は本体価格の約1割増し程度に収まる計算になります(※金利は金融機関や時期により変動します)。 円安が進行している状況下では、輸入品である海外ブランドのマシン価格が将来的に上昇する可能性も考慮し、「価格を固定できる今のうちに契約する」という判断も一理あるでしょう。
見落としがちな追加費用

マシン本体価格以外で、予算計画を圧迫しやすいのが搬入費・設置費・床補強費です。 例えば、マンションでエレベーターにマシンが入らず、クレーンによる吊り上げ作業が必要となり、搬入費が高額になる場合もあります。また大型のマシンを設置する場合、床面に合板やゴムマットなどを敷設する必要が生じることもあります。そうした見落としがちな経費を購入総費用の1割程度として予算に組み込み、事前に搬入経路の確認や設置場所の耐荷重について業者へ情報共有し、相談しておくことで、予期せぬトラブルや追加費用を避けられます。
アフターサービスとリセールバリュー

購入後のサポート体制や、将来的な買い替え・売却時の価値(リセールバリュー)も重要な検討ポイントです。一般的に1年〜3年の保証が設定されていることが多く、自然故障であれば無償修理となります。売却については世界的に豊富な導入実績のあるメーカーであれば中古市場でも価値が比較的保たれやすい傾向にあります。ただし保証期間内にマシンを第三者へ譲渡する場合の保証の継続可否は、メーカーや代理店の規定によって異なります。購入時の保証書やインボイス(請求書・納品書など)は大切に保管しておきましょう。
将来的にご自身のスタジオを拡張したり、マシンを入れ替えたりする計画がある場合は、購入前に下取り価格の相場を調べておくなど、資産としてのマシンの価値を評価する視点も持っておくと、長期的な資金計画が立てやすくなります。
購入前後のチェックポイント
マシンを手に入れたとしても、その目的が曖昧であったり、設置環境や使用方法が不適切だったりすると、期待した効果を得ることも、指導力の向上につなげることも難しくなります。マシンの導入前から導入後まで、各段階で押さえておくべき重要なポイントを整理します。
個人の目的と身体の状態の明確化

マシンを手に入れることはゴールではなく、あくまでご自身の身体の改善、そして指導スキル向上のためのスタート地点です。継続的な学びと実践を通じて、その効果を最大限に引き出しましょう。例えば、猫背の改善が主な目的なら、胸椎の伸展を効果的に促すことに特化したスパインコレクターといった補助器具で十分な場合もあります。一方で、スポーツのパフォーマンス向上を目指し、パワーを生み出す筋肉群をダイナミックに強化したいのであれば、可動域が広く多様な負荷調整が可能なリフォーマーが適しているでしょう。医療機関に通院中の方は、必ず主治医に相談し、ピラティスを行う上での禁忌動作や注意事項を確認してください。
指導者としての視点

インストラクターを目指す方であれば、将来どのようなクライアント層(例:高齢者、アスリート、リハビリ目的の方、産前産後の方など)を対象に指導したいかによって、必要となるマシンの種類や機能、求められる安全サポートのレベルも変わってきます。 このように、「ご自身の目的・身体の状態・目指す指導方針」を具体的に可視化しておくことで、オーバースペックな機能に不必要な費用を投じるリスクを避け、最適な一台を選ぶことができます。
スペースの確保と安全管理

マシンの性能を最大限に引き出し、安全かつ快適に使用するためには、適切な設置環境の整備と日々の安全管理が不可欠です。リフォーマーやキャデラックなど大型マシンであれば長さが2m以上あり、その上でストラップを引いたり、手足を大きく動かしたりするための十分な設置スペースが必要です。また設置の際はジョイントマットや厚手のゴムマットなどを敷き、エクササイズ時の衝撃音や振動を緩和するとともに、床材を保護しましょう。更に安全な使用のためには、少なくとも週に1回は主要なボルトやネジに緩みがないかのチェック、月に1回はスプリングやロープ、ストラップなどに摩耗や劣化がないかの目視点検を習慣化しましょう。
まとめ
マシンピラティスの購入は、「高価なフィットネス器具を買う」という行為以上に、身体への価値ある投資です。さらにピラティスインストラクターやその志望者にとっては、将来のキャリアを豊かにするための重要な投資そのものです。まずはメーカーごとの特性、周到な資金計画、そして購入後の設置・運用に至る各段階で、必要な情報をしっかりと整理しましょう。そしてご自身の目的、身体の状態、そして将来の指導に関するビジョンと照らし合わせて最適な選択を行うことができれば、長期的な健康と理想のボディメイクを実現し、さらには指導者としての専門スキルを着実に高めていくことができるでしょう。充実したピラティスライフ、そして実りある指導者としての道を力強く歩み始めてください。
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